第一回 山小屋で働いてみようというみなさんへ!

こちらの山小屋便りで、山小屋バイト&生活に関するコラムを担当させていただくことになりました、「はる@」といいます。よろしくお願い致します。

私が、このコラムを書くのに適任であるのかどうかはわからないのですが、インクノットさんからのご指名ということで、山小屋アルバイトについてあれこれ書いてみようとおもいます。今年、山小屋で働いてみたいんだけど、本格的な登山の経験もないし、初めてなので、やっていけるか不安で・・という方達向けに、自分の経験からアドバイス出来たらいいかなと思っています。

結論から言ってしまえば、大丈夫、誰でも出来ます!ってことなんですけど、やはり、山域や、山小屋グループによる違いや立地条件によって、同じ働くにしても小屋によって勝手が違う部分があります。そしてなにより、働いている人々も小屋の規模や登山口からの距離などによっても、千差万別なので、自分に合った山小屋を見つけるには、多少の予備知識は必要かとおもいます。まあ、はじめから、ここに行きたい!っていう憧れの場所があれば、素直にそこに行くのがベストなのですが。

あと、実際のバイトの仕事内容からはずれますが、休暇についてとか暇な時(お客さんの少ない時期や、天候の悪い時等)の過ごし方とか、こんな物持っていくと、さらに山小屋生活が楽しくなるよ!といった、山で楽しく過ごす方法なんかについても書いて行くつもりです。なにせ、ロケーションによっては、携帯も通じない自然の中で(当然ネットからも隔離されます)数週間~数ヶ月過ごすわけで、情報過多な現代人にとっては、サバイバルな状態です(笑)。でも、小屋から一歩外にでれば、とっておきの大自然の中で、ワクワクする事が盛りだくさんです。渓流釣り、きのこ狩り などなど・・・

普段の登山なら、数日かけて、アルプスを縦走される方も多いと思いますが、やはり足速に通り過ぎるのと、ある場所にまとまった期間滞在するのとでは、当然見える物も違ってきます。たとえば、六月下旬に小屋に入って、二ヶ月過ごすとすると、登った時は北アルプスの奥地だとまだまだ雪がたっぷり残っていて、水源地での雪掘りというハードワークが最初の仕事になるかもしれません。その後、きらめくような夏山に変化。しかし、そろそろ下山という、8月末ともなると、木々も色付き始め、朝晩はすっかり冷え込み、山は秋の気配です。たった二ヶ月の間に、都会なら、早春・夏・晩秋と、三つの季節が凝縮されている、そんな濃い時間を過ごすことになります。

私自身はといえば、2003年から、毎年インクノットさんにお世話になって、夏に1~2ヶ月、山小屋で働いています。普段は、東京で建築設計事務所を友人と経営してるのですが、この間、本業は友人達にまかせきりとなります。初めてお世話になった時は、まだ独立したてで、仕事もあまりない時期だったし、夏は大好きな山で過ごすか!というのりで応募したのですが、なんだかんだで、13年も続いています。最初は、皆さんと同じく、山小屋・アルバイトで、ネットで検索して、インクノットさんのHPに辿り着いたわけです。その後、仕事のほうは無事、軌道に乗りましたが、夏の山小屋のほうも楽しくてやめれずに現在に至ります。もちろん、今年も夏は山小屋で暮らすつもりです。もはや、バイトというより、自分のライフサイクルの一部になってしまっています。趣味の風景写真やフライフィッシングを楽しめるのも続いている要因でしょう。これからも続けるのか、それとも何か変化があるのかは、自分でもまだわかりません。

とりあえず、第一回は私の簡単な自己紹介ということで。写真は、2009年の秋、毎年GWに小屋開けの手伝いにいっている南アルプスの鳳凰小屋に遊びにいった時のきのこ狩りの収穫物。この後、オーナーの細田さんが、料理してくれ、帰りに持たせてくれました。夏はいつも北アルプスの黒部川源流部周辺ですが、こと、森の美しさっていう点では、南アルプスもお薦めの山域です。